これが如何なる得体のカメラなのか、よく知らなかった。1990年代後半のコンパクトカメラについてはほとんど知識が無い。しかしながらファインダー部の曲線が印象的である故に、気にはなっていたのである。
オークションでの落札価格は1000円にも満たなかった。もちろんそんなに安いカメラであるはずがなく、ジャンクとの表記があったのだが、記されていた不具合の状態を読む限り、おそらくパノラマ切り替え時のマスクの動作に問題があると予想された。

到着したカメラを見てみると、やはりパノラマ用のマスクに不具合があったので応急修理。出品者は女性だったが、とても丁寧に使われていたらしくキズもほとんど無い。ありがたいことに当時のカタログが同封してあり、これで操作法は大体把握することができた。
カタログには「メタルズーム」とあり、アルミ素材のお洒落な外装になったというのが売りであったらしい。ボディ色はバイオレットとシルバーの二つがあったようだが、本機はシルバー。カタログで見る限りバイオレットというのが実に微妙で、比べなければシルバーと呼んでもおかしくない色である。
この時代のニコンのカメラにしては美しいデザインであるし、ニコンらしく精密感のある造作である。しかし操作は心地よいとは言い難い。各種ボタンはゴム製で、誤操作を防止する為もあろうが、押し辛い。特にズームボタンは最悪だ。電源をOFFにすると各種モード設定がキャンセルされてしまうのもいただけない。
カタログに記載のスペックを見る限り、Nikon mini zoomと中身はほとんど同じのようである。35mmF3.5〜70mmF6.5の4群4枚のズームレンズに1/2.5秒〜1/400秒のシャッター。バッテリーはCR123A。

描写は非常にシャープ。被写体によっては居心地の悪い写りになるかもしれないが、ニコンらしいとも言える。
Back
NIKON
ZOOM 310 QD
main
>>
camera
>>
point & shoots
NIKON ZOOM310 QD